ダッシュボードとは、いくつかのデータをひとつのボード(画面)にまとめ、見やすくしたものです。散らばっているデータを一つに集約することにより、個々のデータをそれぞれ参照する手間を省き、データ間の相関性が把握しやすくなります。データ間の相関性の可視化を高めることで、さらに中身の濃いインサイト(洞察・本質)が浮き彫りになることがあります。
ビジネスでは、ヒト・モノ・カネに加え「データ」が重要な経営資源と言われて久しく、経営の意思決定に大きな影響を与えています。「データ」は見なければ意味がなく、効率よくスマートに見るために「ダッシュボード」が利活用されています。個人とチームのパフォーマンスデータを集約したり、見込み客リードと受注率・売上をリアルタイムに表示することで、業務パフォーマンスの“今”を把握し、よりよい意思決定につなげていくことができます。
バラバラのデータを一つの画面へ。参照の手間をなくします。
数字どうしのつながりが見え、濃いインサイトが浮かびます。
“今”を把握し、よりよい意思決定とアクションにつなげます。
馬車の運転席に立てたボード(板)が起源です。dash(ダッシュ)には「たたきつける」「浴びせる」の意があり、馬がはねあげた泥や小石がたたきつけられるボードなので「ダッシュボード」と名付けられました。
馬がはね上げる泥や小石を避けるための板。それが「ダッシュボード」の始まりでした。
馬車が自動車になり、前席正面の内装部品全体=運転に必要な計器類を指すように。
計器を模し、経営上の重要メトリックを統合して見る画面へ。デジタルダッシュボードとも。
結論から言うと、KGI(最終目標)をチームが日々動かせるKPI(中間指標)に分解し、その“今”をダッシュボードで全員に見せる——3つはこの関係でつながっています。戦略目標は大きすぎてそのままでは行動できません。分解してはじめて、ダッシュボードは機能します。
経営の最終目標。「年間売上を2倍にする」など、1年以上の長期で設定される大きな行き先です。
「7月1日までに商談リード3,000件」など、チームが直接動かせるサイズの指標。四半期などの短いサイクルで見直します。
KPIの進捗をリアルタイムに全員へ見せ、フィードバックループを高速化し、行動を促します。
自分の努力と目標のつながり(line of sight)が見えるほど、人のモチベーションは高まることが知られています。だからKPIには、チームが自分たちで動かせる指標を選ぶことが重要です。
何を載せるかは、チームの目標から逆算して決めます。ここではチームの種類ごとに、よく使われる代表的なKPIを挙げます。掲載する指標の数は1画面あたり8〜12個が目安。多すぎる情報は、判断をむしろ遅くします。
上記は代表例です。大切なのは網羅ではなく、いま追いかけている「小さなゴール」に直結する指標だけを選ぶこと。指標の選び方は、次のベストプラクティスで解説します。
闇雲にデータを並べ、それらしきチャートを作っても、チームは躍動しません。人を惹きつけ、行動させる効果的なパフォーマンス・ダッシュボードを、デザイン → 見せ方 → 運用の3ステップで紹介します。
どうしたら人を惹きつけ、行動させる効果的なパフォーマンス・ダッシュボードをデザインできるか? 3つの観点で組み立てます。
素晴しいデザインができたら、次は「どうやって見せるか?」。スコアをできるだけ見てもらい、意識してもらい、行動につなげるために大切なのは3つです。
指標が小さくて見えなければ、行動に繋がりません。
見る頻度が少なければ、人は忘れてしまいます。
見たい時に見れる場所になければ、見ないものです。
大型ディスプレイをチームの仕事スペースに置けば、大きく、目立ち、関わる回数を増やせます。主要な目標と指標を常時表示しましょう。導入時に知っておきたい3点です。
あまり見られない場所では効果が出ません。設置後の移動は困難。妥協は禁物です。
PC用を引き伸ばしただけでは不要な情報が混ざります。手作業での表示は生産性を損ねることも。
長時間稼働できるモデルを。チューナーなしのディスプレイ型がおすすめです。
重要指標を特定し、視覚化し、大型ディスプレイに理想通り表示できた——でも、それはまだスタートライン。美しいダッシュボードも、見るだけで行動が伴わなければ何も起きません。
データを視覚化し、重要なことをリアルタイムに伝え、適切な行動を適切なタイミングで促すことがダッシュボードの目的です。チームにデータドリブンなカルチャーを浸透させる、4つのアドバイスです。
「指標がどうなったら、何をするのか?」をあらかじめ細かく決めておきます。マネージャーは“ダッシュボードを軸に業務を牽引する”姿勢を示し、プレーヤーがすぐ行動へ移せるよう権限を委譲しておくと、生産性向上に大きく貢献します。
TVダッシュボードの横で、毎日・毎週のミーティングを。既存のミーティングやイベントの中核にダッシュボードを据えることで、チームを自然に引き込み、会話を促す“オフィスのキャンプファイヤー”になります。
最初の試行で完璧はほぼ不可能。目標もチームも変化します。情報がまだ実用的か定期的に尋ね、役に立たない指標は交換を。「何が機能しているか?」を見極め、微調整を続けましょう。継続的なコラボレーションこそ近道です。
友好的な競争の雰囲気は、チームの生産性向上に貢献した実例が多数。ダッシュボードをリアルタイムなスコアボードに見立て、日常業務にゲーム要素を。達成報酬があれば効果は倍増します。
ダッシュボードはたくさんあるのに、データが「見えているだけ」で意思決定や次の行動につながっていない——そんなデータドリブン“ぽい”状態は、多くの場合そもそもの設計が間違っています。原因は次の3つの壁に集約されます。
自分では作れず、メンテナンスも専門チーム頼み。KPIが変わるたびに依頼が必要で、手動更新や複雑な設定が改修を阻みます。
1つのボードにまとめたものの、作った本人にしか分からないと不評。効果的な視覚化には本来、専門的な知識と技術が必要です。
苦労して用意したダッシュボードが、見られず使われなくなる。アクセスが面倒だと、人は自然と遠ざかっていきます。
「本日の新規顧客=42人」——この数字、良いのか悪いのか分かりますか? 数字だけでは判断できません。目標との差、昨日や先週との比較、平均や過去の最高・最低、しきい値の警告。こうした文脈を添えてはじめて、数字は「次の一手」につながります。
KPIダッシュボードは表計算ソフトでもBI(ビジネスインテリジェンス)ツールでも作れます。ただし、データを深く「分析するため」のツールと、チームを「動かすため」のツールは役割が別物。チームで使うKPIダッシュボードなら、3つの壁を越えられるか——次の4点を確認しましょう。
使うチーム自身が、専門家に頼らず作れて直せること。KPIは変わり続けるので、修正の速さがそのまま鮮度になります。
視覚化の専門知識がなくても、一目で伝わる表示になること。自由度が高すぎるツールは、かえって分かりにくいボードを生みます。
TV・モバイル・Slack・メール・他ツールへの埋め込みなど、チームの目に自然に入る場所へ届けられること。見られなければ意味がありません。
日々使うツールと自動接続でき、常に“今”を映すこと。手動更新のボードは、遅かれ早かれ止まります。しきい値アラートやレポート自動配信があるとなお良し。
いくつかのデータをひとつのボード(画面)にまとめ、見やすくしたものです。散らばったデータを集約することで参照の手間を省き、データ間の相関を把握しやすくし、業務の“今”をひと目で確認して意思決定につなげられます。
馬車の運転席に立てた泥よけの板が起源です。dash(ダッシュ)には「たたきつける」の意があり、馬がはねあげた泥や小石が当たる板なので「ダッシュボード」と呼ばれました。やがて自動車の計器パネル、そしてビジネスのデータダッシュボードへと意味が広がりました。
役割が違います。BIツールはデータを深く「分析するため」のもの、KPIダッシュボードはチームの“今”を見せて「行動を促すため」のものです。分析はBI、日々の共有はKPIダッシュボード、と併用するチームも多くあります。
8〜12個が目安です。多すぎる情報は認知の負担になり、判断をむしろ遅くします。いま追いかけている目標に直結する指標だけに絞りましょう。
大きな目標を「小さなゴール」に分割し、正確・十分・新鮮なデータを用意します。そのうえで重要な指標に絞り、優先順位がわかり、シンプルで一貫性のある、魅力的なデザインにすることが成功の条件です。
「大きく見せる・何回も見せる・どこでも見せる」の3つです。交通標識のように大きく、繰り返し、見たい場所で見られる形が理想で、オフィスのTVダッシュボードで常時表示すると効果的です。
「指標がどうなったら何をするか」のアクションを事前に決め、毎日・毎週のミーティングに織り込み、フィードバックを得て改善を繰り返し、ゲーミフィケーションを取り入れます。可視化した後にどう活用し作用させるかで結果が変わります。